やあやあ、ぶんちょだよん。

前期は金曜日なんの講義も入っていなかったんだけれど、後期は必修で保健体育概論みたいなそんなような名前の講義が1時限目にある。内容はメンタルヘルス関連。体も心も健康になりましょう、みたいな、そんなような講義。そういう話って、退屈だし、説教くさいし、理想的すぎて実際に実行なんて不可能じゃんっ！　て思わせるような内容ばっかりだから、単位もらえればいいと思って参加したんだけれど。

うん、なんていうか。うーん。うまく言葉にできないなぁ。今、なんだかすごく妙な気持ち。

第一回目の講義はガイダンス。これからこの講義でどんな話をする予定なのか。どういったことを目的とした講義なのか。内容は、自分たちが生きる意味。自己とは。これからの目標。その他もろもろ。

教授が実際何を話したのかは、正直言ってほとんど覚えてない。人はみんな苦しみながら成長していくんだ、とか、苦しみながら生きてきたから今の自分があるんだ、とか、今さら教授からわざわざ言われなくても、どこかで1度や2度は必ず聞いたことがあるような、そんな話。

なのに、なんでだろうなあ。話し方がうまかったのかもしれない。教授自身も対人恐怖症を抱えてる人だったから、説得力があったのかもしれない。とにかく理由はわからなかったんだけれど、なんだか揺り動かされた。

なんて言えばいいんだろう。心の奥底の、他人だけじゃなく、自分ですらも手の届かない部分をぎゅむって捕まれた気分。

今まで誰にも見せることはないだろうな、自分で直視することもないだろうな、別に隠すわけでも鍵をかけて閉じ込めるわけではないけれど、今までもこれからもずっと独りぼっちなんだ、なんだかさびしいな、いいんだいいんだ、諦めちゃったんだよそんなこととっくに、一生外に出れるわけないんだ、出る勇気もないんだ、出たってなんにもいいことなんてない、奥のじめっとした日の当らない真っ暗なところでそっとしておいてくれよ、放っておいてくれよ、誰にも、自分でも、どうにかすることなんてできないんだよ、っていう、そんな部分。

そんな部分があるってことに、自分でもほとんど気づかないのに言いあてられた気分。暗い暗い洞窟のなかでひっそりうずくまってたのに、実は洞窟の奥の壁に穴があいていて、背中をのぞかれていた気分。

何千何万の大勢の生徒たちのために用意された講義の内容なのに、まるで1対1で話されてる錯覚に陥った。やめてそれ以上言わないでお願いって思っても、聴き入っちゃう自分がいた。それでもうなんだかわけのわからないうちに涙が出てた。あわてて拭いたけど、もう涙腺緩みっぱなしで、今でもまだゆるゆる。油断したら今でも泣きそう。

なんでだろう。別に悲しいわけでもないのに。それとも悲しいのかなぁ？　辛いのかなぁ？　なんだかよくわからなくなってくる。

そもそも、生きてる時点で苦しみなんていうのは当たり前に感じるもので、楽しい幸せだって感じることの方が少ないのが普通で、いちいち悲観的になってたら世の中で生きていけないじゃないか。苦しむのが人生。もがいてもがいてもがいてそれで死んでいく。ただ、その中でたまにきらりと光る楽しい時間。それだけを頼りに生きていけばいいじゃないか。おいしいケーキが食べれたとか、かぁいい文鳥と遊べたとか、それで十分じゃないか。別に不満なんてないよ。人の裏切りとかトラブルなんてない方がおかしいんだよ。不安なんてものは感じて当然なんだから、別に大丈夫だよ。

そう思ってたのに、なんで今こんなに動揺してるんだろう。

なんだかね。素っ裸のままお風呂からあがったら見知らぬ男の人と鉢合わせしちゃったみたいな、そんな気分なんだよね。

ひゃあああああああああああああああああああああああああっ、なんでなんで、うえっ！？　ちょ、うわっ、まってやめてどうして！？　はわわわわわわ！！　いやあああああああああああ！！

って気分。

まあ、2，3日すれば収まるよ。こういうのは。あとになって、そういえばそういうこともあったなぁ、懐かしい、って思えるようになるよ。今はだいぶあわあわしてるけど。別に暗い気分なわけじゃないんだ。ただ、ぶんちょの中にある感情が詰まった大きな鍋をおたまでぐるぐるぐるぐるかき混ぜられちゃった、みたいなそんな感じ。

もしここまで辛抱強く読んでる人がいたら、ごめんちょ。ぶんちょも人間だから、こんな風につまらない話をつらつら書くことだってあるんだ。

ほんと、今だけはこうさせて。きっと明日からはバイトとか課題とかテストとかで忙殺されて、こんな気分にはならないだろうから。今だけ、今だけはこのままでいさせてちょ。

なんだか、今の気持ちはすごく大切にしなきゃいけない気がするんだ。