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大学生活とか、本とか、文鳥とか、たべものとか。
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せいやっ!!(。・ω・)σ)´Д`)プニッ♪  やあ、ぶんちょだよん☆

あれはフランス語の講義を受けているときだった。最近フランス語の講義に何かが頻繁に起こるきがするのもやぶさかではないが、この際それはおいておこう。とにかく、前日の夜更かしがたたって激しく襲い掛かる睡魔となんとか戦いながらフランス語の文法事項を一生懸命ルーズリーフ用紙にボールペンで書いているときに、事は起こった。

長年連れ添ってきた癖字でさらさらと文字を書いていると、愛用している4色ボールペンの黒インクが薄くなってきた。おや、何事かな? とボールペンの芯を見ておどろいた。インクが切れている! なんてことだ。ショックで目がさえてしまった。あと15分ほどで講義は終わる。それまでもちこたえてはくれまいか。そう切に願ったが思いは天に届かず、いきなり黒色のボールペンは天に召されてしまった。なんということだ。教授はどんどん板書を書いていくというのに、インクがない。くうっ、私もついに命運尽きたようだ。ノートはボールペンで書くという己の主義をかなぐり捨て、シャープペンシルを用いらなければならないときが来た。身を裂かれるかのような屈辱に耐えながら、私はペンケースからシャープペンシルを手に取った。プライドを捨ててノートをとり始める。黒ボールペンのインクの色から急にシャープペンシルの色に変わるこのノートの見栄えの悪さにめまいを覚えつつ、苦痛のときをなんとか耐えきった。

それにしてもインクが切れるのが早すぎやしまいか。6月に変えたばかりだぞ。大して勉強もしていないのに、なぜだろう。ああ、そうか、バイトだ。バイトで毎回大量の報告書を書かされていたせいか。ふっ、予想外な展開だぜ。

とにかくこのままじゃいけない。文房具屋さんにいってボールペンの芯を手に入れなければ。私は学校のPCルームに直行し、近くに文房具屋さんがないか調べてみた。すると駅の近くに1軒あることが判明。さっそくそこへ出かけることにした。

こまごまとした小さなお店が立ち並ぶ商店街の一角に、その文房具屋さんはあった。想像以上にこぢんまりとしている。本気で文房具屋さんを探す気で目を凝らさなければ気づかずにスルーしてしまいそうだ。個人経営の店なのだろうか。細々としたそのいでたちに、入るのをためらってしまう。だがいつまでも迷っていても仕方あるまい。私は意を決して中に入っていった。

狭い店内は、商品であふれかえっていた。入り口のすぐ右手にあるレジカウンターには、誰もいない。どうしようかと考えあぐねていると、奥のほうから声が聞こえてきた。
「はいはい、いらっしゃいませー」
商品棚の影から現れたのは、腰の曲がった小柄なおばあちゃん。のんびりとした足取りでレジカウンターの中へと歩いていく。
「あの、すいません、4色ボールペンの芯がほしいんです。黒なんですけど……」
「んー? はいはい、ちょっとそのボールペン貸してちょーだいな」
私は愛用のボールペンをおばあちゃんに渡した。おばあちゃんはレジの中にぞんざいに突っ込まれていた老眼鏡をとってかけ、ボールペンをまじまじと見つめた。
前回北千住で買ったときは、すんなりと店員のおじちゃんが代えの芯を取り出しすぐにお会計を済ませることができたので、今回もすぐに終わるだろうと高をくくっていた。が、おばあちゃんはなんども首をかしげ、ボールペンをいろんな角度で一生懸命見つめている。

だ、だいじょうぶかな……。ここには芯置いてないのかな。いやいや、どこにでも使われている4色ボールペンなんだから、おいてあるはずだろう。でも、なんだかおばあちゃんの手元がおぼつかないぞ。

ちょっと心配になりながらもようすを見ていることに。おばあちゃんはボールペンを分解し、インクのなくなった芯を食い入るように見つめ始めた。しばらくがんばってから、ふぅと息をつき、レジの中にこれまたぞんざいに突っ込まれていた赤チョークを取り出し、芯にこすり合わせた。すると芯に刻まれていた文字が浮かび上がる。おそらくそれが品番だろう。なんとかなりそうかな、とおもっていると、おばあちゃんはいまだに芯を目から近づけたり遠ざけたりして苦戦している。
「えーと、これはゼブラ製かい?」ふいにおばあちゃんが訊く。
「えっ! ちょっと、よくわからないです……」
「これ、なんて書いてあるのかねえ? 読んでくれないかい?」
やっぱり読めなくて苦戦していたのね。おばあちゃんもたいへんだなあ。
「あ、じゃあメモしますよ」
レジ横に展示されているお試し品のなにやらごつい形状をした怪しげなシャープペンシルと試し書き用のメモ帳を手に取り、私は芯に書いてあるやたら長ったらしい品番を書き留めた。
「はい、これです」おばあちゃんにそのメモ書きを渡す。
おばあちゃんは、そのメモをまじまじと見つめて一言。
「ん? なんじゃこりゃ?」
ええっ。なんじゃこりゃって! そんなに字が汚いかなぁ。かるくショックだぞ。そして不思議とこみ上げてくる笑いをどうしてくれようか。
メモ書きとにらめっこしていると、おばあちゃんはやっとなにか心得たようだ。カウンター内の戸棚をがさごそとあさりはじめた。あちこちの引き出しの中身をごっちゃまぜにし、あれこれとそれらしいものを探し出しては違っていることに気づき落胆しながら次を探し出す。

……うん、なんだかすごく心配です! もしこれが親類のおばあちゃんだったら、すぐに手伝ってあげたくなりますな。おばあちゃん、わたしが探すから、コタツでお茶でも飲んでてね、って言いたくなります! むしろちょっと申し訳ない気持ちだよ。ごめんよおばあちゃん、無理難題おしつけて! こんどからはおばあちゃんに頼ったりしない立派な大人になるから! 

はらはらして見守っている私の気持ちなど知る由もなく、おばあちゃんは高い位置においてあるかごに手を伸ばした。かごはいろいろな商品であるれている。手元に引き寄せたかと思ったとたん、がたがたがたっと中身がなだれ落ちた。

ちょっ! だいじょぶかねおばあちゃん。ああっ、無理しないでっ!!

あわあわしている私を尻目に、その落ちた商品の中に目当てのものを探し当てたようだ。何度も何度も品番を確かめ、そしてパッケージを開けてわざわざボールペンに芯を装着してくれる。

う、うん。おばあちゃん。とっても親切でうれしいんだけど、すごく手元がおぼつかないから、気を遣ってくれなくていいんだよ? あ、そうそう。うん、もう大丈夫だから。もうそれで完成だから。それ以上押し込んでも、もうはいんないから。えっ、はずしちゃうの!? さっきので良かったんだけど……うん、そうそう、そこにね、押し込むんだよ。ああだから、それ以上は入んないからもう大丈夫だって。ああああ。。。。

「あ、あのう、それでもう大丈夫です……」あわあわしながら声をかけることに。
「ん? そうかい?」
「はい。ありがとうございました」
「いやー、調子のいいときはちゃんと読めるんだけどね。今日はアレだけど。調子のいいときはねっ!!」

ちょっと弁解口調のおばあちゃん、かぁいい。茶目っ気たまらないなあ。

「そうそう、お会計だね。67円だよ」
「あ、はい」
「あ、間違えた。63円だ」
「……はい」

お会計が終わり、やっと私は店を後にした。
小さなお店だからこそのアットホームな雰囲気に、ちょっと癒された気がした。









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無題
多分そのおばあさん俺の母の妹の旦那の姉の祖母の孫の従兄弟の兄の祖父の従姉妹の祖母のひ孫の友人の母の旦那の母の息子の孫の姉の従姉妹の友人の孫の従兄弟の母だと思うから仲良くしてちょ☆
あっつん 2010/10/25(Mon)18:59:51 編集
ご親戚の方でしたか
そうかあ。どうりで……いや、なんでもないじょ☆
これからお世話になるかもしれないかもしれないかもしれないから、よろしく言っておいてちょ♪
【2010/10/27 11:24】
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